人、まち、自然。ふるさと日本、ありがとう。 民主党参議院比例区第68総支部長竹内栄一
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民主党参議院比例区第68総支部長竹内栄一
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平成22年4月15日
普天間基地移設問題について

9日の新聞報道によると、政府が2段階移設案として最終移設先としてきた米軍ホワイトビーチ沖に人工島をつくる計画を沖縄県や地元自治体また連立与党の反対もあって断念したとのことである。元々政府は3月末までに移転先候補を決めて、米国に提案、協議して5月末迄に決着すると言っていたが、その可能性は非常に難しくなったのではないか。この問題が今後どのように解決するのか、はっきりした筋道や見通しが読めなくなった。この問題について、最も憂慮されるのは、民主党政権に対する米国の不信感の増大であり、実質的に、軍事同盟であるこの日米同盟の安定性や有効性が失われる危険である。民主党も外交政策の基本として日米同盟の重要性を位置づけているが、今回の普天間基地移設問題を巡って民主党の対応が迷走しているのは憂慮すべきことであり、この問題は、中国の軍事力強化に如何に対応するかの観点から、単にわが国だけの安全保障だけでなく、台湾、朝鮮半島を含めて東南アジア全域での軍事的安定に、密接に関連していることから、この問題の帰趨には地域の関係諸国も非常に神経質になっている。

一体、この沖縄問題の本質は何か、沖縄に米軍が存在することを、誰が、本当に望んでいるのか、米国なのか、或いは、日本なのかということに尽きる。勿論、米国は彼等の東アジア地域戦略上、特に、台湾防衛の観点から、沖縄の地政学的位置を重視していることは明らかである。しかし、台湾が中国の支配下に入ることのインパクトは、特にペルシャ湾からの石油の海上輸送ルートの安全性も含めて、わが国の存立そのものに,広範囲、且つ、永続的に、死活的な影響を及ぼすのは余りにも明々白々である。この地域では現在も、中国、ベトナム、そして北朝鮮が共産党独裁国家として冷戦構造をその侭、ひきずっており、特に近年、経済発展の著しい、そして、核を保有し、航空母艦を含む外洋艦隊の整備を進めている軍事大国中国が、米国に対抗して、この地域での覇権を狙っていることは明らかであり、この地域の軍事的なバランスや安定が危うくなりつつある現実を考えると、中国はわが国にとっては、尖閣列島や日中中間線の石油開発の問題等でも明らかなように、軍事的な脅威であり、その意味では、わが国こそ、現在、抑止力を備えていない以上、沖縄に強力な米軍が存在することを、より強く必要としており、最大の国益がかかっていると考えるのが政治的なリアリズムから、より合理的であると考えるしかない。

現代では戦争や軍事的紛争の形は政治的にも軍事的にも非常に複雑化しており、その対応も複雑になるが、衝突や紛争を最小限に処理する、そして軍事的に優位を占めるには、何よりも“時間”の要素、そして、攻撃中心の兵力集中の効果が重視される。米海兵隊は米本国の陸海空3軍と並んで、海外での非常時に対応する先兵として、兵站、輸送運搬、また訓練を含めて自己完結型の独立した実戦部隊であり,強襲的攻撃を身上とする戦闘部隊である。そのような海兵隊の目的や特殊性に最も合致した基地が、沖縄に求められている。他方、普天間基地が人口密集地にあって、周辺住民の安全安心に問題が確かに、存在し、その危険性を除去または極力小さくすることも、勿論、重要な課題であるが、その点は米国政府もよく認識しており、1996年の橋本クリントン会談で締結した日米安保宣言で普天間基地の返還と代替基地の建設が合意され、その後日米間で13年に及ぶ実務者協議を経て、現行案―名護市のキャンプ シュワブの沿岸部の埋め立て地への移設が決まり、日米間で正式な合意となっていた。その過程では、沖縄県民には自民党政府による様々の説得工作が行われて、全幅の賛成ではないが、事実上の容認の妥協が期待できるとの状況になっていた。

この様な背景や経緯を考えると、昨年の衆院選に当たり、民主党が特に、沖縄県民の負担軽減を前面に出して、現行案の白紙撤回を選挙公約として打ち出したことが、果たして、わが国の安全保障という国益の点から見て、政治的に正しい選択であったのか、現在の混迷した状況をよく考えると、残念ながら、疑問と感じざるをえない。勿論、沖縄県民の負担削減や危険除去を真剣に考えることは重要であるが、同時に、この問題の本質は、あくまで、わが国の安全保障の問題、それは沖縄県民の生命財産の確保も当然、含まれるが、として、国の専管事項として、処理されるべき問題であった。その意味で、国防また安全保障の問題は決して、個々の政党の利害や政局上の駆け引きで取り上げるべき性質のものではないのは明らかである。これは二大政党制における政権交代についての国民の信頼を確保する意味でも不可欠な条件でである。

今、沖縄県民の感情は今、非常な混乱におかれている。一度は、現行案で仕方ないかと現実的には諦めかけていたところへ、民主党の選挙公約で県外移転−海外移転と受け取られる雰囲気の中で、政権交代が実現した。その期待が大いに膨れ上がった。しかし、期待が大きかっただけに、結果が県内となれば、彼らは本当に裏切られたという強く反発の感情に動かされるのは至極自然なことでありある。更に、8日の参院外交防衛委員会での防衛相の“米軍施設は迷惑”との発言は国家防衛の責任者である者の発言とは全く不適切としか言うしかない。この様な発言は沖縄県民を愚弄していることでしかない。これでは、沖縄県民に迷惑施設を何故、押し付けるのか、という文句になる。これは明らかに間違っている。この施設は沖縄を含めて、日本国の国防と安全の為に絶対不可欠だから、お願いしますと言うのが本来の筋道でないのか、関係責任者がこんな体たらくであるから、米国からも、住民の同意を取り付けてこいと指摘される。いずれにしても、現時点の状況では沖縄県民の反発を押し切って、問題を強引に解決しようとすることは政治的には極めて困難にあることは否定できない。これは正に、“パンドラの箱”を開けた結果である。

しかし、この問題は単に、沖縄の普天間基地移転の問題という教区部的な問題ではない。ここで問われているのは、国家の命運を付託された政権政党としての民主党の国家観、そして軍事的な要素も含めて、わが国を取り巻く国際関係をどう認識しているのか、そして特に中国の軍事的な脅威に今後、いかに対応していくのかが問われていることである。その点について、沖縄県民を含めて、国民に対して、そして、同盟国である米国に対して、論理的に説得する責任はまず、民主党にあることを自覚して、この課題に最大限の真剣さと慎重さを持って迅速に対応していかなければならないと思う。


竹内栄一事務所